わたしは本を読むのが好きです。実用書も色々と読みます。子供ができてから、育児本もいくつか読みました。その中でも「いい子に育つ! 6000回のおむつがえ」はかなり良かったです。
育児本のオススメです。すぐに読めるし簡単で優しい語り口なので、新生児を抱えているお母さんでも、少し自分に余裕のある日には読みきれると思います。(でも新生児期は赤ちゃんのお世話と自分の身体を休めることを第一に! あんまり本は読まないほうが良いかも)
また、子供が小さいうちに(0歳台)読むのがおすすめです。
なんたっておむつがえがテーマですし、想定されているのも「赤ちゃんのおむつがえ」だからです。
わたしはこの本に書いてある関わり方と、この本の優しいまなざしをひとつの理想として育児をしています。できれば、一人でも多くのお母さんに届いてほしいです。
この記事は、読んでいるお母さんのためというよりは、すべての赤ちゃんのために書いている、そんな気持ちです。
ひとりでも多くのお母さんに届きますように。そして、ひとりでも多くの赤ちゃん時代を過ごしている子供たちへ、この優しさが届きますように。
おむつがえは面倒→優しいかかわりにする
「いい子に育つ! 6000回のおむつがえ」に書いてあることを一言に要約すると、「毎日必ずあるおむつがえを、面倒な作業ではなく、可愛い赤ちゃんとの触れ合いの機会にしちゃおう」ということです。
さっさと手早くかえるのではなく、いやいやする子供の気を(おもちゃなどで)そらしてかえるのではなく、あかちゃんとお母さん(やおとうさんやおばあちゃんやおじいちゃんや…)のいちゃいちゃタイムにしちゃおう! 丁寧に向き合うから一回あたりのおむつがえの時間はすこしかかるけど、メリットがものすごくいっぱいあるよ! という趣旨で、「おむつがえ育児」を実践することで見込めるメリットと、その具体的なやり方が書いてあります。
その嬉しすぎるメリットとはこんなことです。
- 言葉を話せない赤ちゃんとのコミュニケーションの実感が得られる
- 親子の絆が深まる
- 子供との交流のコツをつかんでいくことができる
- 来たるイヤイヤ期に備えて、親の力を高めることができる
おむつがえは毎日絶対に発生する強制イベント。でも、効率よくこなす毎日より、赤ちゃんとの絆を深める機会があると思って毎日を過ごしたほうがとっても豊かで、素敵だと思います。
正しい、じゃなくて優しい楽しいおむつがえのやり方
推奨されているおむつがえがどんな風に進むのかというと、こんなかんじです。
- 赤ちゃんに「おむつをかえようね」と予告する
- 赤ちゃんの様子を見てあげる
- いやいやしたら、ちょっとつきあってあげる
- 一緒にかえるため、おもちゃなどは置いてもらう
- 赤ちゃんの気持ちを待つ……
- ゆっくり、赤ちゃんとふたりの共同作業でおむつをかえる
このようなかんじで、赤ちゃんの様子を見ながら、ゆっくりとかえます。
赤ちゃんがいやいやするようなら、少しだけつきあってあげながら、「お母さんはこうしたいよ」という気持ちを伝えていきます。お母さんのかえたい気持ちを伝えて、赤ちゃんの気持ちが「いいよ」となったら、二人で一緒に共同作業でかえるのです。本では、優しい言葉で、ひとつひとつの工程が具体的に書いてあります。
「赤ちゃんは言葉を分かってる」を本当は信じてなかった私
わたしがこの本をとくにオススメする理由は、自分で気づけなかったことに気づかせてくれたからです。
今では一般的になりつつありますが、赤ちゃんは大人の言葉が分かっているといいますよね。わたしも「赤ちゃんは言葉が分かっている」と思っているし、だからおむつをかえる時にも、抱っこをする時にも声をかけていたし、自分は赤ちゃんの存在を尊重していると思っていました。
でもこの本のおむつがえの方法には「赤ちゃんの気持ちを待つ」「“いいよ”のサインを待つ」という工程があり、それこそがこの本が最も大切にしている部分なのです。
それまで、わたしは「赤ちゃんは言葉が分かっている」と思っていながらも、この小さいわが子がわたしへなにかを訴えてくれるとは考えたこともありませんでした。
もちろん、寂しい、おなかすいた、寒い暑い痛いなどの感情、状態を泣いて知らせてくれることは分かっていました。でも、この小さきものが、わたしに、誰かに、サインを伝えようとしてくれるなんて思いもよらなかったのです。
赤ちゃんはわたしの言葉を分かっていると言いながら、でも、その力を全然信じていなかったことに気づいたのです。
わたしは「はーい、おむつかえるよー」と言って、勝手におむつかえスペースに赤ちゃんを連れていき、勝手にオムツを開いて、かえて、「はい、いい気持ちだったね」と言って、それで赤ちゃんとコミュニケーションをとれたつもりになっていました。
今考えるとすごく一方的でした。
わが子は2歳になっておしゃべりもかなり上達しましたが、そのスピードは大人に比べてゆっくりです。生まれて1年もたっていない赤ちゃんは、もっとゆっくりだと思います。その反応を待って、時にはお互いの意見の衝突(おむつをかえたいお母さんvsかえる気分じゃない子供)を乗り越えて、「ふたりでいっしょにかえる」ことを目指すことで、そこに温かいかかわりが生まれるのだと思います。
我が家のおむつがえ育児
この本を読んで感動し、考えを改めたわたしは、すぐに旦那にもこの本を読んでもらいました。読んだのは子供が3カ月くらいの時だったと思います。ゆっくり「おむつがえ育児」をしていると、赤ちゃんは確かにサインを送ってくれるようになりました。
例えば、おとなが赤ちゃんをごろんと寝かせるのではなく、おむつがえスペースに赤ちゃんを座らせて、背中を支えるようにしながら「一緒におむつをかえようね。ごろんできるかな?」と言いながら待つと、赤ちゃんは自分で力を抜いて、背中を預けてくれるのです。この経験を繰り返すことは、子供を信じることと、子供とコミュニケーションがとれていると信じることにつながっていきました。
「子供を信じよう」とか「子供を尊重しよう」などの意見を聞いて「そうだな」と思うのと違うところは、毎日実地でその経験を積めるところだと思います。「子供を信じよう」という観念ではなく、おむつがえを通して「子供を信じる瞬間」に何度も立ち会えるのが「おむつ替え育児」の良いところです。
印象的だったのは、私、旦那、私の実母、子供の4人で出かけた時のことです。
わたしはお手洗いに行きたかったのでおむつがえを旦那に頼んでトイレに行ったのですが、トイレで手を洗っている時に、子供の泣き声が響き渡りました。旦那はよくおむつがえをしていて慣れているし、どうしたのかなと思って後から話を聞くと、
「いつも通りゆっくり“おむつがえ育児”をしていたら、俺が慣れてないと思ったのか、お母さんが「やってあげるよ」と言ってささっとオムツを変えちゃった」とのことでした。
子供からしたら、きっと「父さんとコミュニケーションタイムだー!」気持ちを作っていたタイミングで、急に違う人が出てきてさっさとオムツをかえてしまったので、びっくりして気持ちがついていかなかったんだと思います。
母のやり方が乱暴ということではなく、母はずっと保育園で働いてきて子供にも慣れているので、フォローの気持ちからやってくれたことでした。ありがたく思いながらもこの出来事で「やっぱり子供は子供のタイミングや気持ちがあるんだな」と強く感じました。
おむつがえ育児の在り方が、全ての養育者に届きますように
感銘を受けた育児本は他にもありますが、とくに赤ちゃん時代におすすめしたい育児本です。激押しです。短くて簡単、優しい語り口なので絶賛赤ちゃんお世話中のお母さんでも読めると思いますが、やはりお世話が大変な時期なので、妊娠中に一度読んでおいて、いざ生まれてからもう一度読むようにするのがベストかもしれません。
新生児期では赤ちゃんは体を動かすことすらままなりませんが、「赤ちゃんはこちらの言うことを分かっている。そして、きっとサインを出そうと、あれこれ考えてくれている」と考えられることにはとても大きな意味があると思います。
小さい小さいわが子とコミュニケーションがとれること、それはとても大きな喜びでした。
また「おむつかえ育児」メリットのひとつ「いやいや期への備えができる」ということについてどうだったか? は、絶賛いやいや期を迎えたわが子との最近を思い返して、おむつがえ育児がどんな風に役立ったか、そして役立たなかったかを書きたいと思います。(しばしお待ちください)
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